長文を書けない私たちへ

※ WEB記事を書く人向けのアドベントカレンダーこちら)に参加しておりますが、この記事はライター向けというより、Twitterでは何かしらの文字を書いているけども、それ以上のものを書き切れない、以前の私のような人に向けた記事です。これを読んで「何か書いてみよう!」と背中を押せるのなら、嬉しく思います。



私は長い文章が書けない。
決して書けないわけではないけれど、あまり長い文章が書けない。
いざ何か書いて下さいと言われても、計画性が無いし、計画を立てるのが下手なので、筋道に迷ってしまうし、現に迷いかけてる。

でも文章を書くといっても、一個人として文字を書く分には、文量に縛られる必要もないし、Twitterの延長線程度でも文章は文章。
私たちはもっと自由でいいと思う。



例えば私が昔書いた、町歩きの同人誌(半ばこっぱずかしい)より、


下の文章で295文字。Twitterでいうなら、2ツイート強の文字数。
写真の力には十分頼ってる。でもそれなりに伝わるものはなかろうか。
(ちなみに同人誌版では隣のページに商人宿を改築した珈琲店の紹介が入ってます)



そしてこれはある旅の朝のツイート。


ある晴れた朝、電車に乗って遠出をした時のツイート。
その他もろもろを省略して「晴れてるから遠出をしたくなった」というシンプルな言葉でまとめている。

そして写真だけでも
・天気の良さ
・人けのない電車
・都会ではないどこか
という情報は伝わるし、それと同時に今この写真に写っている風景を描くために必要な文字数を削る事もできる。

でも写真だけでは、
・向かっている先
・(天気だけではない)遠出の動機
・日常ではない風景への気持ちの高まり
という情報までは伝わらない。なので私は文字を書く。



私が遠出を決めた理由。
心が荒めば北行の電車に乗りたくなる。それはさながら「オンナみちのく一人旅」の世界。
でも晴れた日は海を観ていたいし、冬は温泉にも入りたい。
私は上野駅から常磐線の下り列車に飛び乗って、福島県いわき市に向かうことにした。 (ここまで118文字)

しかし水戸で乗り継ぎしたばかりの列車は乗る人も多かったのに、今じゃずいぶんと空気の澄んだ箱の中、私はポツンと座っている。
「思えば遠くに来たもんな」と、ハードボイルド気取りで東の窓をみてみたら、絵に描いたような渇いた日射しが眩しかった。 (ここまで118文字+121文字)

列車は北を向いたまま進み続ける。日立・高萩・大津港と、この辺りの車窓は海が見えていいもんだ。
太平洋はスケール感が格別で、この水平線の先、ずっと進めばアメリカだってあるけれど、想いを馳せる土地が果てしなくてすがすがしい。あまりにも果てが無くて、自分の存在がトコトンちっぽけに思えてしまう。

けどいい。今日の私はこの感情も味わいに来たんだ。
車窓と向き合い、日常では得られない感情を流し込んで、自分で自分をかき混ぜていく。

県境を過ぎて福島県に入った。窓からは勿来の海水浴場が見える。次に列車のドアが開くときは福島の空気が入ってくるんだ。
 (ここまで118文字+121文字+143文字+写真+121文字)



こういった具合で、写真の持つ情報に対して、写真だけでは伝わりきらない情報や、それ以上に伝えたい場面や感情を文章で挟みながら書き進めていく。
でも無理に長文は書かなくていい。気負わずラフに文章を重ねていく。

ただこう「Twitterだけでは尺が足りない」
そう思い始めたのなら、140文字の枠から飛び出して、写真も好きに配置して、ブログでもnoteでもいい。自分のやりやすいスタイルで書き始める時だと思う。


ひたすら文章を書き進めようとするのは難しい。でも自分の見たもの・感じたもの、そして自分の中から湧き出るものをすくい上げて、みえる形にしていくこと。そしてわかってくれる、たのしんでくれる誰かに向けて文字をつないでいく。
私は私のすきなものを書く事がだいすきです。