しがない空中散歩の話
8月1x日 17:20 高松空港発 羽田空港行 JAL0484便、定刻どおりのテイク・オフ。
しかし問題は、Wi-Fiが無いことだ。仕方ない、窓でも見るか。
見下ろすと、うっすら標高の高い山と、瀬戸内の島々が見える。
この山はこんぴらさんかな、それとも「讃岐富士」こと、飯野山かな。
でも気を抜いてると、あっという間に高度は上がる。
雲より高いところに上がると、雲が雪みたいに見えてきた。
よく真冬の雪を真綿に例えたり、雲に例えたりするけれど、いまは逆だ。雲上が大雪原に見える。
行ったことないけど、南極大陸ってこんな感じかな。ジオチャンネルで昔みたヤツ。
アザラシもペンギンもいないし、犬ぞり走らせる人もいないし、やっぱりココは南極でも何でもないの、分かってるけどさ。
雪のような雲と別れて、灰色の雲の上。
埋め立て地は輪郭がわかりやすい。これは神戸の六甲アイランド、かな。そんな気がする。
そしてよくわからないけれど、特徴的な感じの街たち。
お米一粒一粒に神様が宿る。じゃないけれど、この家屋ひとつひとつには所有者がいるんだよね。
眼下の風景は、あくまで風景かもしれないけど、その中にはいくつもの日常があるんだろうな。そう思うとモザイク画の町にも、味わいがぎっしり。
……なんてことを思っていたら、空はふんわりと、ねむけを誘う色になってきた。
朝なら恐らく、二度寝してる色。そして長旅の疲れからか、全身の力が抜けいく色。
でもせっかくの窓側席。今は今しかない。窓フレーム外側の景色を、我が目に焼き付けようとする。
これは絶妙に、指でつまみ上げたくなるタイプの三浦半島。
これは富津辺り。岬の突端部分が特徴的。
木更津辺りの夕日が橙色で、海面まで暖色に染めていたことと、
東京湾に伸びる白い線は、伊豆大島から来た高速船(ジェットフォイル)の航跡波かな。
辺りのコンテナ船やフェリー?タンカー?の類いと比べても、走行速度が異なってた。
そして東京湾の、いつか見た風景を空中から見下ろして、着陸体勢へ。
……と、旅に後ろ髪を引かれながら、滑走路に着陸。
でも「後ろ髪を引かれながら」とか言いつつ、動く歩道では歩きたくなってしまうし、旅を惜しんでるのか、日常に戻りたがっているのか、どちらにせよ、気持ちと行動は一致しない。