諏訪に行きたい

一時期、やさぐれると、ふらっと諏訪へ足を延ばしていた時期があった。程よい現実逃避にもなっていた。

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コレは2013年の12月20日の午後3時半ごろ、撮った写真だ。
生まれて初めて諏訪湖のほとりに立った時、私は不思議と感動した。

気温は日常の街と違う。木々はひと足先に落葉していて、足元には雪まで散らばっている。
でも目の前には、こうして大きな水辺がサーッと広がっている。
ここに広がっている風景は、海でもない、湾でもない。こんな風景を私はかつて観たことがあるだろうか。

今日私は、神奈川を立ち、八王子から中央線に乗り、大月を越えて・甲府を過ぎて、標高700メートル級の町にやってきた。あたかも海から遠ざかるように動いてきた。
しかし鼻呼吸をしても、ツンと冷えるが、磯臭さはしない。やっぱりココは海じゃない。

でも諏訪湖の水面を眺めていると、とにかく心が洗われていく感覚があって、日没までずーっとこの景色を見続けたいとまで思った。

それから、子どもの頃に読んだ、アンデス山脈の奥地にあるといわれた黄金郷・エルドラドの湖のことを目の前の風景に重ねつつ、風に吹かれる。
黄金の船は現れないし、エメラルドの埋め込まれた黄金マスクをかぶることもないけれど、地球の裏側の遠い文明。こういうの好きなんだよね。募金の赤い羽根はインディアンの羽根に見立てて、とても大事に胸に刺してたし。

あとこの湖の底には、武田信玄が眠ってるって説もあるな。武田信玄の水中墓。寒い日は氷がはって、湖底からじゃ空もロクに見上げられないだろうけど。

そしてそれ以外にも「普段思わない・考えない」こと、思ったり考えたりしながら、ひたすら、ずっとボーッと、風に吹かれて、訳のわからない妄想に耽る。




このくらいの季節になると、余計に諏訪湖のほとりが恋しくなる。冷え込むのもわかってる。
でも防寒重ねて、ただずっとボーッとできる場所に行きたい。現実軽く飛び越えて、私は諏訪に行きたい。