町中で飲み干すペットボトル(日記)

週末は大船に行った。
大船では何も考えずにブラブラと歩いた。
アイスコーヒー飲みたいな。小銭が惜しいな。
でもだからって、コンビニで買った108円のお茶が、どうしようもなく美味しかった。

コンビニのPBコーナーに並んでいるルイボス茶。
すこしクセのある味だけれど、ほんのりと奥の方に発酵茶の甘みがあって、ゴクゴク飲んでも、ノンカフェインのやさしさが染み渡る。
そして、熱帯の夕にスコールが降り注ぎ、バラック小屋の軒先で雨をしのぐことを口実に仕事をサボってた時のような、有りもしない記憶が急に襲い、私は私を忘れる。



曇天、湿度の高い日。
じめっとした空気の中にもコンマ数パーセントで、南方の国々が混ざっていそうな日。
「アイレー」という名前の台風が週半ばにはやってくるそうで、私は「アイレ可愛や」という戦前の南方歌謡をちいさく口ずさんだ。

「♪ アイレ可愛や 村娘」

有りもしないスコールの記憶と、生まれるずっと前の南方歌謡と、町中で飲み干すペットボトル。

茶店には行かなかった。
ただ大船の町の奥まった所にある、ポルべニール書店の手前でルイボス茶を飲んでいた。