雪が来てくれた

街が閉ざされた週末。でも今年のうちにもう一度、白い雪が見たかった。
こういう事態でもなければ、明け方から電車に乗って、私は雪を見に行くつもりだった。

冬至から春分にかけての季節かな。
トロトロと遅い、各駅停車の横浜線で八王子まで行って、そこから中央線で西に向かうと、雪景色の車窓が待っている。
遠目の雪が、だんだん近くに見えてきて、特急の通過待ちで、島式ホームにちょこっと降り立つと、それだけで既にひんやりする。車内暖房で火照った頬に触れる、山から吹く風。皮膚のうすさを肉でも感じて、口呼吸をすれば気管まで染み渡る。そんな刺激に目が見開く。

私はまあ、そういう感じの旅がすきで、雪もすきで、雪を見に行くだけの旅だとか、そういうのがすき過ぎてたまらない。
けど、不要不急の外出は控えるように。なんて言われてしまったら仕方ない。どうしようもない。


だけどその、そういうこともあるもんだ。

雪が見たいって思っていたら、今度は雪の方からヨコハマにやって来た。
雪が私の家のベランダまで来てくれた。
3月29日にヨコハマでも雪が降った。