青春18きっぷで横浜から岐阜まで

JR全線の普通車自由席1日乗り放題・青春18きっぷ。5枚つづり 12,050円 一日辺り2,410円
これを使い私は急遽、岐阜に向かった。

所要時間は6時間28分。半日?一日?がかりの移動だけれど、まあ構わない。
思い立ったが吉日だし、思い立ったら岐阜。
「ひたすら電車に乗り続ける」という優雅な苦行の中から、とっておきの車窓をいくつかお見せしよう。

サザンオールスターズ希望の轍」が発車ベルとして流れる茅ヶ崎駅を過ぎて、相模川の上より。向かう先に障害物がなく、景色が一気に開かれた爽快さ。
そして窓ガラス越しの緑がかった河川の色に不思議を感じつつ、この辺りから一気に旅を強く感じ出す。



これは小田原駅に停車中時に撮った写真ですが、駅員さんの放水とポカリスエットの広告、この異なる水流が一枚に収まってる気持ちよさ、いかがでしょう。偶然だけれど。
あと、小田原〜熱海間の本数は東京〜小田原に比べるとすこし少ないので、乗り換えによっては、小田原駅で一服するのもいいかと思います。


この先に見える橋は、大磯~小田原間を結び、国道一号線と並行して走る「西湘バイパス」というもので、このバイパス上から眺める相模湾も絶景なのですが、風景としての西湘バイパスもオツなものです。

  • 勢い任せの桜


そして海沿いの長閑な風景が始まり、点々とある山々、山々をくり抜いたトンネル、その出口には桜が咲き、春風と共に駆け抜ける我々。
シャッターチャンスなんて有無を言わせず、このブレがスピード感だから仕方ないね。
桜と旅が交わる刹那を可視化させるとこんな感じ。

  • 橙の実がなる樹々


真鶴・湯河原辺りは柑橘類の栽培も盛んで、それがこう車窓の美しさにも繋がっている。
特に真鶴は美の町として、町独特の「美の基準(美の町真鶴/真鶴町)」を持っており、各戸、実のなる木を植えることを推奨されているし、実際に歩いても美に溢れてる。また真鶴行きたい。

  • 湯河原・熱海の温泉地近く


それから湯河原〜熱海の温泉地らしい風景を眺めるのもいいですね。
湯河原は「相模の小京都」と呼ばれ、奥座敷感のあるしっぽりとした温泉街。あの桃鉄を作ったさくまあきら氏の別荘も湯河原にあるらしいのですが、日本中をたくさん回られたお方が別荘地として選んだ土地・湯河原。なんとなくわかる気もします。



一方長いトンネルを過ぎると、そこはもう熱海。同じ温泉地でも湯河原とは異なるリゾートめいた風景が広がり、



おやおやと熱海。





息抜きの途中下車に選んだのは熱海駅
駅前から昭和な賑わいの残り香がする、いい感じにフォトジェニックな町だ。そして飲食店もたくさん!
しかし小腹が空いていても、ロクに飲食店に居座れそうな時間が無く、結局ファミマで買ったコンビニおにぎりで小腹を満たした。
だけどレシートにはきちんと「静岡県」と打たれていて、少しテンション上がった。いま私は静岡県に税を納めた。






東海道線の熱海以西はひたすら長い。
熱海駅以降は約3時間、豊橋駅までロングシートに揺られることになる。18きっぷユーザーでもこの区間はだいぶしんどいと言う。
今回は割り切って読書に打ち込んでしまったし、時にはこの区間を完全に睡眠のための区間にしてしまうこともある。

でも時間に余裕があるのなら、静岡駅辺りで途中休憩を入れてもいいし(静岡駅は立ち食いそばの「チーズ蕎麦」が有名だったりする)、夕方の時間なら310円の乗車整理券を足すことで乗ることのできる通勤客向けに設定されたホームライナーに乗るのもいいと思う。






ただそんな18きっぷユーザー泣かせの静岡県内にも、いくつかお気に入りの車窓はあって


ここらへんは駅のホーム越しでもバッチリと富士山の見える駅で、途中下車せずとも「静岡県らしい風景」を拝むことができるのが、とても良いです。
富士山がそこにある日常風景が新鮮な上に、四月の真新しい制服着た女学生の初々しさもそこにあって、春ですね。

鉄道オタクみたいなことを言うと、吉原駅から岳南電車に乗りかえて、吉原本町周辺の町歩きや、工場群に向かう夜景列車もいいけれど、それは別の機会で。

  • 西に向かう時の夕暮れ


電車でウトウトしていると、現在地は時間ごとワープして、夕暮れを駆け抜けているんです。
懐中電灯で照らし出された影絵のような街は、まどろみのなかでは夢かもしれないけれど、座り過ぎた腰の痛みは現実なんです。


そして浜松駅を過ぎて弁天島駅の辺りの車窓も見逃さずに来てほしいです。
薄明かりの浜名湖湖上は幻想的で、電車はスーッと、水の上を走る。
他の乗客たちは恐らく何の感慨も抱かず、日常風景として電車に乗っているけれど、よそ者の私は「何という世界に来てしまったんだ」とも思いながら、車窓に食いついてばかり。






横浜を出て、ようやく5時間で愛知県は豊橋へ。


外は真っ暗だし、お腹も空いてきたけれど、新快速・大垣行き!ということで、本日の目的地の岐阜まではあと少し!







20:01 岐阜駅到着!


実のところ岐阜駅周辺の写真がない。
何故なら宿のチェックインが20時半までという決まりがあり、岐阜駅からお宿までタイムアタックのように移動したからだ。

一泊1900円〜という激安特価の代わりに、チェックイン時間に制約をかけて人件費を抑えたりと、特殊な経営をしている「ホテルウィークリー翔 岐阜」さん。
でも不思議とこの宿に嫌さはない。おもてなしは最低限だけれど、私にとっては「安宿に蓄積された、人さまの貧乏旅の匂い」すら、この宿のもてなしに感じる。

さあ荷物を整理して、早速夜の街に繰り出そうかと。