孤独感は、そこで

結局私は、孤独感のかたまりだと思う。

いま現在は満たされてないわけでもないし、家庭もあって、友人も少ないなりにいて、職場での人間関係もあって、客観的に見れば、まあそこまで悪くは無いと思う。
けど、結局どこか、取り繕うように振舞ってしまうところはあるし、自然体で難なく愛されている人間を観てしまうと、自分の中の何かを静かに打ち砕かれてしまう。私は努力なしで愛される気がしない。コレもある種の劣等感だろうか。

でもうまくは言えないんだけど、私の中に「死人によって私が動かされてる」ような感覚が降ってくる時や、死人じゃなくても、生霊みたいな何かに肉体を動かされてる感覚がたまにあって、大抵こういう時には、私の中の孤独感がうまくかき消されている。

生身の私は本当に本当に空っぽで、人に誇れる中身なんて大して無い。
けどそのスキマに何かが入り込み、胸の中で酔わされている感覚と、何かしらの疾走感がハマった時の私は強い。
頭が開いて、勘は鋭くて、色んなことが手に取るように見える。そして何かに動かされてる中で、日常の孤独が嘘みたいに消え去っては、視界に入るすべてのものが、私に向かって何かを語りかけてくる。
それはもう、どこか映画や物語のような世界だ。

でもどうして私には「死人によって動かされてる」ような感覚が降ってくるのか。
たぶんそこには、生きることに対して、やや冷めかけてる私に対して「生きるのも悪くないよ」って、見守りながら教えてくれる、目には見えない、愛に満ちあふれた「誰か」の存在があるんだと思う。

そしてそこにある、孤独感と表裏一体に広がる、私だけの夢の世界。
「もういいんだ」って投げやりになりながらも、世界はやさしくて、そこから生きることに対する飢えもわいてくる。
でもああ、結局この孤独感と私は心中していくのかしら。
この孤独感に巣食う、私だけの夢の世界。
皆にこの夢の世界を見せることができた時、私の孤独感もこう、成仏していくのだろうか。